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そのときは突然に [ヴォイ・サザファミリー噺]

ビンゴを失ってから8日が過ぎました。
仕事に集中することでその寂しさは紛れているけれど、
ふと思い出すと急にボロボロと涙が出てきてしまうのは、まぁ仕方ないか。

今思えばビンゴは死に急いでたのだと思う。
本当に具合が悪くなってからの4日間は恐ろしいくらいとてもあっけなく、
そう、死の瞬間まで生きようとしたポプリとは全く違う時間だった。

きっと、ひとりぼっちが寂しすぎたんだね。
私達はビンゴがいるから頑張れると思ったけれど、
ビンゴには目標が無くなっちゃったものね。
貴女を失ってからようやくそのことに気付いたよ。ごめんね。

私は、4月中旬から忙しさのピークを迎え、5月始めまで外出しっぱなしの毎日が続いた。
3月下旬におこなったきりのビンゴの血液検査を早くしなければと思いつつも、 毎日飲まなせなければいけない持病の薬は欠かさず与えていたし、その間変わった様子が見られたわけでもなかった。

仕事も一段落した5月7日、お腹をこわしたようなので翌日病院に連れて行くと、おそらく気候の変化で体調を崩したのでしょうと言わた。
その時行った血液検査で、腎臓の数値が少しだけ上がっているのが気になったけれど、まだこの時はさほど大変な事だとは思っていなかった。

10日(木)2度目の下痢をしたので再び病院に行き便の検査をしてもらった。細菌は出ていないので常用している抗生物質のせいではないかと薬を変えることになった。それ以降下痢は止まったのでホッと安心した。

12日(土)午前中、病院に行くまでは事の重大性に全く気付かなかった。
実はこの日タイフェスティバルに行くつもりでいた。
前日夜中からどうも元気が無いのが気になったので念のために病院に行った。出かけるつもりでいたし、安心するために血液検査をしてもらう程度の気持ちでいた。

でも、検査結果を伝えるために私を呼んだ先生の表情は明らかに曇っていた。
腎臓の数値BUNとCREが5日前よりもはるかに上がっていたから。

この日から7日間自宅で静脈点滴を始めることになった。
24時間管理のプレッシャーは有ったけれど、 脚の悪いビンゴを入院させてストレスを与えるよりも良いと先生と話し合った結果だった。


私が絶対に治す!
そんな気持ちが有ったから、これがビンゴの最後の写真になってしまった。
写真嫌いの彼女はカメラを向けると顔をそむけてしまうので、
本当にこれが最後の写真。

13日(日)点滴を続けているのに昨日からおしっこが出ないので病院でエコーをとってもらう。膀胱にはちゃんと尿が溜まっているので少し安心した。溜まっているのに出そうとしない理由はビンゴにしか分からないので利尿剤を注射してもらう。

14日(月)は比較的元気を取り戻した様子で、今まで口にしてくれなかったカッテージチーズや栄養補助食も無理矢理だけど嫌がらずに食べてくれた。この日こそ、このまま回復していくと信じて疑わなかった。

15日(火)朝からどんよりとした空が気になる。
気圧が急激に変化していることが健康な私でも感じるくらい体が重い。そのせいかビンゴに元気が全くなく、お腹が痛いのかしきりに鳴く。かわいそうで見ていられない。
12時に初めての嘔吐。病院に電話を入れる。今は点滴に頼るしか方法は無く、落ち着くように先生に諭される。今思えば、この時からカウントダウンが始まっていたということだろうか。
3時過ぎ、ここ1週間食べていもいないのに大量の下痢。我慢できず開院前に病院に連れて行く。1日500cc近くの点滴でビンゴの体はずっしりと重く、利尿剤を注射してもらっても出ないおしっこが恨めしい。


同じ腎不全のポプリを看取った経験から、その時にもう永くないことは理解できた。
だから私はただひたすら側にいて、ビンゴの背中や手や足や頭を撫でてあげることしかできなかった。夜中、目を開いたままビンゴの意識が混濁してゆくのが分かった。
もう、きっとお腹痛くないね。よかった。

そして、16日の早朝ビンゴはあっけなく眠るように逝ってしまった。
私達にはポプリの時のように、ビンゴを引き留めることはできなかった。
優しく、ひたすら、ビンちゃんと呼び続けることしかできなかった。

まだ暖かい体を拭きながら、抱きしめ、大好きな貴女の匂いをかぐ。
でも、クリクリとした可愛い目に輝きはもうない。
ただただお疲れ様・・・・としか言葉が出てこない。

ビンゴの体から点滴をはずし、その機材や使った薬を恨むかのようにゴミ箱にどんどんと捨てる。病んだ痕跡の全てを消してしまいたい思いから、全てを片付け、掃除までした。

どんどんと冷たくなってゆく体を見るに忍びなく、その日のうちに哲学堂動物霊園で火葬し、ポプリと同じ骨壺にいれてもらう。
仲良く寄り添うように、優しく、とても丁寧に納めてもらった。

私はその日、それまでの行動の全てが、まるで機械になってしまったかのようだった。
心臓がカチッカチッと音をたてているかのように体だけが動いていた。


夜、
連日の睡眠不足にもかかわらず全く眠ることができなくて、ポプリとビンゴの写真に向かって泣きながらずっと話しをしていた。そう、朝までいっぱいいっぱい話しをした。

いろいろな後悔はあるけれど、
あの夜から二人とずっと話しをしているから、貴女たちの気持ちが分かったような気がする。

今とっても幸せだってことも。。。

貴女たちとしばらくできなかったプチ旅行。
思いつきだったけど日曜日、快晴の空の下で千葉へのドライブとっても楽しかったね。
朝まで行く場所を迷っていたのは、やっぱり海にしたかったんだ。
そう、最後に行った福島の浜辺のように一緒におもいっきり走りたかったの。
でも着いたのは岩場で走るどころじゃなかったね。
笑っちゃうくらい歩くのがようやくだったね。あはは、それは私だけ?

しかも
「ヴォイスくんまたおんなじTシャツ着てるよ!」って言われちゃう〜
なんていうからホント笑っちゃったね。


ビンちゃんがポプリのもとに行ってしまうまで、
不思議なくらいいろいろな偶然があったけれど、
もしかして千葉に行くことになったのもポプリが仕組んだでしょ。

たぶんあの山に魂を帰して欲しかったのよね。
ポプリが我が家に来るほんの少し前に行った、私の大好きな鋸山に。
あれから何度も千葉に行っているのに何故が行きたくても行かれなかった。
あの勇壮な山にようやく行かれることになったのは必然なの?


とはいえ、
いつも二人がそばに居てくれていることを感じるから嬉しいよ。
だって昨日はようやく夢を見ることができたし、きっとこれからもっともっと元気になれると思う。


いつか本当に会えるその日まで、ちょっとだけバイバイ



バイバイ♡

最後に、
私ども夫婦は、
ゆっくりと立ち上がり、前を見て、また一歩づつ新しい生活をスタートさせています。
もちろん、泣いてばかりなんていませんよ。

長い長い記事に最後までお付き合いいただき、本当に有り難うございました。
そして、皆さんの温かな励ましの言葉を心より感謝申し上げます。


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コメント 14

不可能姉妹

あれもこれもしてあげれば良かった....
色々と考えてしまいますね...
でも私は、その瞬間に一緒に居られた事で
「ありがとう」と言う事ができました。
(何もしてあげれなかったけど...)
ポプリが導いてくれた海...そして...
ママに逢いたかったビンゴ...
今は穏やかにお2人を見守ってくれてますね!
いつか逢えるその日まで....
サザママヴォイパパ一緒に頑張りましょう!
虹の橋で皆で宴会!です!
(あっ....キーもね.....)
by 不可能姉妹 (2007-05-25 01:04) 

おはよ! 
ポプリの時もピンゴの時も全力で看護したね。心から尊敬していますよ。
少しは気持ちが落ち着いたようで、ほっとしました。
いつまでも悲しんでいたら、成仏できないし。・・・らしくないし。望んでいないよ。笑ってる顔を見せてあげてね。
館山の海かな? サザエどんを癒してくれたようですね。
自然はいいね~。山好きな私も海が見たくなって来た。
泳ぐのは・・・もうできね~~。
水着・・・入らない♪(渚のバルコニー風に・・・)
by (2007-05-25 08:20) 

たいへー

そうですか、前向きならまた良い事がありますよ。
安心しました。
by たいへー (2007-05-25 09:46) 

kaoru

こんにちは。あれもこれもと思われるのは、当たり前ですが
思い出すとキリがないし・・・最期までサザエさん御夫妻さんの
深い愛情に包まれてポプリちゃんもピンゴちゃんも幸せで
安心して虹の橋を渡られた事と思います。今は、二人で仲良く
思い切り走り回ったりしてお友達も一緒に楽しんでいるでしょうね。
鋸山に行かれて優しく癒してもらえて良かったですね。
ママもパパも元気を出して!とポプリちゃんが
行けるように機会を作っくれたのでしょうね。
ポプリちゃんもピンゴちゃんも安心出来るように無理をし過ぎずに
少しずつ元気と笑顔を取り戻して行って下さいね。
by kaoru (2007-05-25 12:14) 

従者

この14年間、ううん、ポプリちゃんだけだった頃からだから16年間、
二人からとても色々なプレゼントをもらったよね。
それはもう、何よりの宝物だと思う。
寿命を考えると、見送らなきゃいけないということは頭でわかっていても
二人ともに先に行かれちゃうと、本当に辛いよね。。。
きっと、気が付くとぼ~っとしちゃってる瞬間がまだあるんだろうと思う。
でも、ポプリちゃんのときも、そして今回も、本当に良く頑張ったじゃない!
色々、考えてもキリのないことを考えちゃうかも知れないけれど
二人には、sazaeさんが出来たことが全てで、一番正しかったんだよ。
sazaeさんたちを信じて、sazaeさんたちのために頑張った
その二人のためにも、後悔はしちゃダメだからね!
sazaeさんが後悔しちゃったら、頑張った二人に失礼だからね!
だから。。。
胸を張って毎日生きて行こうね♪
by 従者 (2007-05-25 13:35) 

モモパパ

びんちゃん、きっと寂しかったんでしょう・・・。
写真撮ろうとしても顔を背けたのもそんなびんちゃんの気持ちかもと思ったりしました。
とにかく、いつかは分からないけどポプビンちゃん達に会える日まで後悔は封印してくださいね、そうでないとあちらで二人して困ってると思いますから。
時間が一番の薬、今後のサザエさんらしいブログをお待ちしております。
by モモパパ (2007-05-25 19:13) 

のり巻サザエ

★不可能ふみかちゃん?★
そうだね、いっくら後悔してもなんの解決にもならないことはポプリの時に経験してる。「ありがとう」って素敵な言葉ね。ポプリと出会えてビンゴを授かり14年も一緒にいられた事に本当に感謝。虹の橋でいつか大宴会!いいね♪

★こぎんさん★
私は仕事をしながらも24時間ポプ・ビンと一緒というとても恵まれた環境にいたと思います。以前勤めていた会社にも半ば強引にポプリを連れて行ってたし。だから最後まで自分で見届けることが出来た。以前は二人ともいない環境なんて想像できなかったけれど、9日が過ぎてようやくその空気感にも慣れてきました。やっぱりそれが生きているってことなんでしょうか。

★たいへーさん★
3日間は躁鬱状態で体調も悪く自分でイヤになるほどだったけれど、時が経てば経つほど人間、自然に前を向くことができるのですね。ご心配をおかけしました。

★kaoruさん★
ちょっと前までは近所のワンちゃんを見ると、この子はいつまで家族と一緒にいられるのかしら...なんて後ろ向きなことを考えてしまったりしていたけれど、今は手放しでやっぱり可愛いなぁって思えるようになりました。思い切って海そして鋸山に行って良かったです。ポプリに感謝です。

★従者さん★
また涙でちゃったよ〜。嬉しいな、二人には私が出来たことが全てで一番正しかったなんていう言葉。うん、二人のために後悔はしない。でもこんな私を信じて16年と14年も一緒にいてくれたなんて。やっぱりいろいろゴメンねって言いたい。そう、胸を張って前を見ながらね。

★モモパパさん★
そういえばポプリがいなくなった頃からビンゴは写真が嫌いになったかも知れない。ひとりぼっちになってしまったビンゴには初めて子供を持つ奥さんのようにオロオロしていたからあまり整理がつかないのだけれど。でも二人のために悪妻サザエ復活といきましょうか!
by のり巻サザエ (2007-05-25 20:17) 

頑固堂

復活?
良かった(*´д`;)…
ゆるゆるとね。
by 頑固堂 (2007-05-25 23:03) 

悲しいです。どうすることもできない悔しさ。何度か経験しておりますが、明日に向って生きてください。
by (2007-05-27 08:58) 

Takabee

あの日が転機だったんですね。
タイフェスはどうだったのかなぁと思ってたんですが。。。
それどころじゃなかったんですね。
自分が同じ立場になったら、ここまで献身的にできるかどうか。
ポプリちゃんもビンゴちゃんも、絶対満足して旅立ったことでしょう。

次のタイフェスは来年ですかね?
by Takabee (2007-05-30 01:05) 

のり巻サザエ

★頑固堂さん★
はい、おかげでもっともっと復活しました。
時間の威力は凄いですね。生きてることも凄いことだとつくづく思う。動物から教えられる事っていっぱい有りますね。ポプ・ビンを家族に迎えることができて本当によかったと心から思います。

★cocoa051さん★
子供の頃から動物はいろいろと飼っていましたが、実家を出てからは本当に嬉しいことも辛いことも共有してきた家族としてポプ・ビンがいました。だからその死に直面することは自分の人生の中でかなりハードでしたね。でもおかげさまで立ち直りました。

★Takabeeさん★
のほほんと遊びに行こうとした矢先、こんなことになってしまいました。だからTakabeeさんが行かれないって言ってくれたのが幸いでした。自分の家族だからこそそれぞれの自分流、それぞれの家族流があるわけで、私の場合は時間が自由になる立場でいられたことはとても幸せでした。
by のり巻サザエ (2007-05-30 19:47) 

ichiko

元気になってきたみたいでよかったです。
頑張ったからこそ後悔があるのだと思います。
あれもこれもって。うちも今でも家族で後悔することが
あるけれど、でも、時間って不思議なもので
あの時はあれでよかったんだと思えるようになってきました。

でも、泣きたい時は、泣いちゃってください。
突然涙がこぼれてもそれは、前を向いて行くための
ものだから。
by ichiko (2007-05-31 18:17) 

のり巻サザエ

★ichikoちゃん★
おかげさまで。
自分でも驚く位に立ち直りが早いです。本当にビンゴはポプリのそばに早く行きたかったのでしょうね。写真を眺めていると幸せそうな気持ちが伝わってくるのでそう思います。
でも悲しいのと寂しいのは違うからやっぱり涙はこぼれてしまいます。それは「前を向いて行くためのもの」なのですね、そういう言葉がとっても嬉しいです。
by のり巻サザエ (2007-06-01 20:44) 

マコちん

退院しても、なかなか読めなかった(悲しいから)記事、やっと読みました。
私と同じ腎不全だったんだね・・・。
私は末期だったけれど、人間には透析ってものがる。
でも、動物にはまだ無いのかな?
腹膜透析なら動物にも出来そうだと思うのは素人考えだろうか?
動物の医療ももっともっと人間並みに進化してくれないものなのかな・・・。
by マコちん (2007-06-27 11:14) 

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